大学の先輩から、「トランポリンって結局何やってるの?どうやって勝ち負け決まるの?」と聞かれました。
なんてこった!と思いましたが、ルールを知らないということがトランポリンに興味を持ったり楽しんだりできない原因の一つではないか、と思いました。
トランポリン大好き人間の私は一人でも多くの人にトランポリンを楽しんでもらいたい、好きになってもらいたいと思っています。
この記事では、トランポリンの大会って選手は何してるの?ルールは?勝ち負けはどうやって決まるの?見どころ・楽しみ方を教えてくれ!といった疑問にトランポリン歴15年以上の私がお答えしていきます。
是非これからはトランポリンを観ることも楽しんでみてください。
トランポリンのルールをわかりやすく解説
トランポリンと一言で言っても、実はいろいろあるんです。
個人競技、団体競技、シンクロナイズドなどなど。
一気に全部と考えず、オリンピック種目になっている個人競技について紹介します。
選手の演技
まず、選手はいったい何をやっているかを説明します。
みなさん、トランポリンの選手が何をしているか知っていますか?
なんとなくいくつか技やってるよね、という印象の方も多いのではないでしょうか?
トランポリンの選手は、10種類の技を続けて披露しているのです。
超シンプルに説明すればこれだけです。
では、どのように勝敗が決まるかというと、審判の付ける点数で決まります。
簡単に説明すると、
点数=演技点+難度点+跳躍時間点+移動点-ペナルティ
で決まります。
この点数が高ければ高いほど良い、ということになります。
それぞれ簡単に説明します。
演技点(E)
演技点は美しさのことです。
トランポリンは美しさを競う競技です。
どれだけきれいに演技ができたかを評価する項目で、審判が10点満点で評価します。
いやいや、そんなん人によって変わるやろ、と思ったそこのあなた!
安心してください。
演技点を採点する審判をE審判と呼びますが、E審判は6人います。
6人のうち4人がそれぞれ減点方式で採点します。
そして最も減点が大きかった審判と、最も減点が小さかった審判の2人分の点数をカットした、真ん中の2人の減点を合計したものが演技点の減点分になります。
演技点は全員20点からのスタートです。
持ち点の20点から演技点の減点分を引いたものがその選手の演技点になります。
わかりやすく、10点満点で4人で採点して、真ん中二人の合計と考えても問題ありません。
例えば、太郎選手の演技に、
E審判①:減点0.8点
E審判②:減点0.4点
E審判③:減点0.3点
E審判④:減点0.1点
と評価したとします。
この中で真ん中の二人はE審判②とE審判③なので合計した0.7点が太郎選手の演技点の減点分となります。
なので、太郎選手の演技点は20-0.7=19.3点となります。
このように、誰が見ても美しい、と思える演技が求められますし、極力公平になるような仕組みがあります。
ちなみに、E審判の残りの2人ですが、この2人はこの後説明する移動点の採点をします。
余談ですが、公私混同しているような審判兼コーチも見かけます。
審判の資格とコーチの資格は別ですが、両方の資格を持っていれば自分の生徒を採点するという状況も出来上がってしまいます。
(特に、地方だと審判の資格を持っている人が少ないんですよ)
察しの良い方はもうお気づきではないでしょうか?
そうなんです、自分の生徒の点数にちょっと色を付けちゃうんですよね(笑)
そういうスポーツマンシップのかけらもないようなことをするとんでも審判もいますが、そういったことがあったとしても公平性が保たれるように採点される仕組みがトランポリンにはあります。
安心して(?)楽しんでください。
難度点(D)
これはどれだけ難しい技をやったか、という評価です。
10種類の技一つ一つに難度点が決まっています。
なので、10種目の難度点の合計がその選手の難度点になります。
計算は若干複雑ですが、イメージとしてはたくさん回れば回るほど難度点が高い、と思っていただければ大丈夫です(笑)
↓興味のある方向け↓↓↓
簡単に説明すると、回転系のわざでは縦回転は90°ごとに0.1点、360°回りきるごとに0.1点横回転は180°ごとに0.1点となります。
例えば、2回宙返りをしたら合計で360°×2=720°となり、90°が8回分なので0.8点、さらに360°を2回回りきっているので追加で0.2点加算されます。
つまり、2回宙返りはこの技一つで1.0点の難度点ということになります。
さらに、2回宙返りをしている間に1回ひねり(横回転)を加えたら360°の横回転分、つまり0.1×2=0.2点が加算されます。
なので、2回宙返り1回ひねりは難度点が1.2点の技、ということになります。
↑興味のある方向けおわり↑↑↑
…とちょっとだけ詳しく説明しましたが、そんなに難しく考えなくて大丈夫です(笑)
競技を見るときは、難しいことに挑戦した選手がしっかり評価されるような仕組みになっているんだな、と思って観戦すれば大丈夫です。
ぶっちゃけ、初心者が一回見ただけで難度点を計算するのは無理です。
というか、何回ひねったかもわからないこともあるかと思います。
なので、おー!すげー回ってる!かっけーー!くらいのテンションで全く問題なしです!
あ、ちなみに、私の場合、ひねりや回転はわかっても初見で難度点まで瞬時に計算はできません(笑)
D審判は2人いて、2人で採点を行っています。
跳躍時間点(T)
これは滞空時間を計っています。
みなさん、どうやって滞空時間を計っているか想像できますか?
安心してください、人間がストップウォッチでなんとなく計っているとかではありません(笑)
なんと、トランポリンの下に赤外線センサーがついているんです!
トランポリンを踏んでいると当然トランポリンは沈みます。
この時は赤外線センサーを遮っている状態です。
宙に舞っているときは、トランポリンは沈んでいないので赤外線センサーは遮られていません。
この仕組みを使って滞空時間を測定します。
この機械の操作は主審が行います。
肝心の点数は、秒数になります。
滞空時間が10秒なら跳躍時間点は10点、15秒なら15点です。
トランポリンは観客を惹きつけてナンボです。
惹きつける一つの方法は高さです。
誰よりも高く跳んでいたら、誰だって見入ってしまいますよね。
しかもこれ、生で見ると迫力半端ないですよ!
自分と同じような背格好の人が、数m上空でくるくる回ってるんですよ!
それでいてきれいな演技であれば、もう感動ものです、はい。
是非生で見てほしい…。
移動点(H)
これは減点の点数です。
トランポリンの場所ごとに減点される点数が決まっています。
なぜ減点かというと、常に中心で跳び続けている方がかっこいいからです!
フラフラしているとちょっと残念な演技になってしまいます。
10種目それぞれに評価され、中心で跳べてたら減点なし、中心からちょっと離れたら0.1点、中心からガッツリ離れたら0.3点、といった具合です。
これの合計が移動点です。
移動点は計測器を使用しますが、その場合はE審判の2人が目視で確認も行います。
演技点のところでも簡単に触れましたが、E審判とは演技点の採点をする、と説明した6人です。
演技点の採点とは言いつつも、残りの2人は移動点の確認をするんですね。
ペナルティ
これは演技とは大きくかかわりませんが、ちょっと良くないよね、ってことにかかる減点です。
演技中にコーチが声をかけた、とか服装に違反があった、などです。
1人の演技の採点にここまで気を使っているんです。
みなさん、安心して観戦してください!
トランポリンのルールがわかると観戦も楽しめる!
さあ、ここまでかなり長くなりましたが、これだけ詳しく知っていたら点数の意味や解説にも十分ついていけます。
ルールを知ったうえで観ると、面白さ倍増です。
そして、もっと楽しめるように、のめり込めるように背景を選手の背景を紹介しましょう。
文字通りの自分自身との闘い
実は、トランポリンってかなりのメンタル勝負です。
選手が10種目を行う時間は長くても20秒前後です。
ちなみに、演技開始が遅いとペナルティで減点です。
選手はその試合に向けて人生かけて練習するんです。
選手がこれまで積み上げてきた練習の成果はそのたった20秒に集約されるのです。
オリンピックでは、その20秒のために4年間、いやそれ以上の時間を費やすのです。
しかも一発勝負(続けられなくなったら中断扱いで演技終了になります)。
この環境、なかなかにハードですよ…。
注目の的となって孤軍奮闘
そしてもう一つ。
学生時代、体育館で誰の声もしないシーーーーンとした瞬間に遭遇したこと、誰しもあると思います。
トランポリンの演技、タイミングによってはこうなります(笑)
ひたすら静まり返っている体育館で自分の息遣いととスプリング(トランポリンのばね)の音だけが響き、会場中の全員が自分だけを見る。
この状況、想像してみてください。
まさに、文字通り、孤軍奮闘です。
なぜこんなに書くかというと、この状況は選手時代の私が何度も遭遇しているからです(笑)
まー怖いですよ。
でも、そういった状況の中で選手は演技しているんです。
このように、選手の気持ちをほんの少しでも垣間見れたら、感情移入してさらに熱く楽しめると思います!
トランポリンの見どころ解説!
ではでは、ルールや選手の心境をざっくりとご理解いただけたと思いますので、ここからはトランポリン歴15年、飽きずにトランポリントランポリン言い続けたトランポリンバカである私が、試合で是非注目してほしい見どころを紹介します。
ここから先は完全に私の独断と偏見と主観ですが、見どころポイントは演技の完成度と迫力です。
演技の完成度
私の感覚では、
完成度=高さ+中心位置での安定感+手先や足先のきれいさ
となります。
高さ
まず、言わずもがな、高くなければ見ていて面白くないです。
ひどいと言われるかもしれませんが、低くい演技は物足りなさマシマシです。
実際、跳躍時間点(T)で滞空時間の計測があるように、滞空時間が長い=高い方が評価されます。
私も大会に出る生徒には、「高く跳べないと見ていてつまらん、低い演技は安定しているんじゃなくて縮こまってるだけで迫力がない」とはっきり伝えています。
他の指導員もおそらく同じことを思っているので何も言いませんが、文字にするとなかなかきついですね(笑)
少し脱線しましたが、「高さ」に注目してみてください。
テレビでも生でも、高さは他の選手と簡単に比較できるので、高いだけでも低いだけでも非常に目立ちます。
もちろん、高く跳び続ける方が難しいので選手の技量もわかります、
ついでに言うと、技をやっている最中に低くなる選手がいます。
ストレートでまっすぐ跳ぶよりも動きがある分低くなるのは仕方がありませんが、それでも安定して高さが出ている選手は本当にうまい選手だと思います。
中心位置での安定感
トランポリンの演技を真横から見るとわかりますが、技のたびにフラフラ前後に動くのはよくないです。
先ほど説明した移動点(H)にかかわりますが、トランポリンの中心から技を始め、トランポリンの中心に技を終えて帰ってくるのが最高です。
この安定感は、経験するとわかりますが、半端な努力では到達できません。
このブレに関しては、高さよりもはっきりとわかると思います。
私の知っているトランポリンクラブには、とにかく回転ばかりやらせるところがあります。
回りまくって難しい技をやってナンボな考え方です。
私や私の所属しているトランポリンクラブの他の指導員さんとも意見は一致しているのですが、キレイさを考えない難度点だけを追うやり方は反対です。
確かに難しい技をやっているのかもしれませんが、美しくなければ意味がありません。
トランポリンは美しさを競い、他人に見てもらう競技なので、そんな自己満足の演技では絶対に勝てないと断言します。
(この記事がどうかその先生の目に留まりませんように…)
手先や足先のきれいさ
3つ目は手先や足先のきれいさです。
なんとなーくこの人の演技キレイだな、みたいな感想を持ったことはないでしょうか。
おそらく、それは手先や足先といった細部まで美しく演技しているからだと思います。
上手な選手は、手はしっかり伸ばす、足はきちんと閉じる、膝・つま先は伸ばす、といったいわゆる基本ができています。
これは確かに基本ですが、難しい技をやると技を成功させることに意識の大半が向かってしまい、手や足の先まで意識が届かないこともあります。
そうなると、細部がばらばらで雑な演技になんとなく感じてしまうのです。
実際にやるとわかりますが、私も大会前のこの調整が非常に大変でした。
自分ではしっかりできているつもりでも、周りからそれこそエンドレスで指導されました。
こういったところに着目すれば、自然と演技の完成度を審判の評価した点数ではなく、ご自身の目で評価することができます。
迫力
急にアバウトになりますが、迫力はほとんど技の難度で比べられます。
例えば、1回宙返りと3回宙返りではどちらが圧倒されるでしょうか?
ということです。
また、トランポリンは10種目の技を続けなければいけないので、技のつなぎ方もポイントです。
例えば、1回宙返り⇒2回宙返り⇒3回宙返りという流れでつなげてあれば、徐々にステップアップしていくような迫力・面白さがあります。
他には、着地を背中でしたら、次にどんな技をやるのか、という見方も面白いと思います。
あとは、1回宙返りの後に3回宙返りをやれば回転のかかり方が大きく変わるので、かなり迫力を感じられます。
いわゆる、演技のメリハリというやつです。
これに関しては個人個人の好みが強く出るので、グッと視線をうばわれたら、それがあなたの目には魅力的に映った・迫力のある演技だったということです。
まとめ
トランポリンを楽しむためにはルールを知りましょう!というコンセプトのもといろいろ紹介してきました。
・トランポリンのルールを知る
・選手の気持ちをちょっとだけ紹介
・是非、体験してみる
という3つで今よりもずっとトランポリンを楽しめるようになったのではないでしょうか?
トランポリン選手は20秒程度の時間でこれまでの練習の成果を10種目の技で表現します。
そして、その演技には演技点+難度点+跳躍時間点+移動点-ペナルティで評価されます。
さらには、選手の気持ちになってみて観戦してみてください。
そして、私なりのポイントも紹介させていただきましたので、是非お気に入りの選手や演技を探してみてください!